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債権譲渡、債務者が拒否できるってホント?条件と対策を解説

債権譲渡、債務者が拒否できるってホント?

「債権譲渡」って聞くと、なんだか難しそうな法律用語で、自分には関係ないと思っていませんか? でも、もしあなたが誰かに貸したお金が、突然知らない会社に請求されるようになったら…? 実は、債権譲渡は私たちの身近にも起こりうる出来事なんです。

特に、債権譲渡された側である「債務者」にとっては、知らない間に債権者が変わってしまうのは不安ですよね。場合によっては、債務者が債権譲渡を拒否できるケースもあるんです。

この記事では、債権譲渡の基本的な知識から、債務者として知っておくべき権利、そして債権譲渡を拒否できるケースまで、わかりやすく解説していきます。

この記事のポイント

  • 債権譲渡は、債権を他人に譲り渡すこと。
  • 債務者は、譲渡制限特約がある場合、債権譲渡を拒否できる。
  • 譲渡制限特約がない場合でも、債権の性質や法律によって譲渡が制限されるケースがある。
  • 債権譲渡に不安を感じたら、弁護士に相談するのがおすすめ。

債権譲渡とは?債務者が拒否できるケースを解説

債権譲渡、債務者が拒否できるってホント

債権譲渡の基礎知識

「債権譲渡」とは、ある人が持っている債権を、別の人に譲り渡すことを言います。

例えば、AさんがBさんに100万円貸しているとします。AさんはBさんに対して100万円の返済請求権(=貸金債権)を有します。この貸金債権をAさんがCさんに譲渡すると、Aさんの代わりに、CさんがBさんに対して100万円の返還を請求できるようになります。

債権譲渡は、日常生活ではあまり馴染みがないかもしれませんが、企業間では頻繁に行われています。売掛金債権や貸金債権など、様々な種類の債権が譲渡されています。

債権譲渡の具体例

  • ファクタリング:企業が保有する売掛債権を、ファクタリング会社に売却すること。資金繰りの改善を目的として行われることが多いです。
  • 債権回収会社への売却:回収が困難な債権を、債権回収会社に買い取ってもらうこと。
  • 譲渡担保:債務の担保として、債権を譲渡すること。

債権譲渡のメリット・デメリット

債権譲渡には、譲渡人・譲受人双方にメリット・デメリットがあります。

譲渡人のメリット

  • 資金調達: 債権を譲渡することで、資金を調達することができます。
  • リスクの軽減: 債権が回収不能になった場合のリスクを軽減することができます。
  • 債権管理の負担軽減: 債権の管理の手間を省くことができます。

譲渡人のデメリット

  • 譲渡益課税: 債権を譲渡することで得た利益に対して、税金がかかる可能性があります。
  • 取引先の信用: 債権譲渡によって、取引先の信用を損なう可能性があります。

譲受人のメリット

  • 投資: 債権を譲り受けることで、投資を行うことができます。
  • 債権回収: 債権を回収することで、利益を得ることができます。

譲受人のデメリット

  • 債権回収不能のリスク: 債権が回収不能になるリスクがあります。
  • 債権管理: 債権の管理を行う必要があります。

債権譲渡の手続き

債権譲渡は、一般的に以下の3つの手続きを経て行われます。

  1. 債権譲渡契約の締結:譲渡人と譲受人の間で、債権譲渡契約を締結します。譲渡する債権の情報や譲渡対価、譲渡実行日などを定める契約です。契約書には、以下の内容を記載する必要があります。
    • 譲渡する債権の種類
    • 債権額
    • 債務者名
    • 譲渡対価
    • 支払期日
    • 債権譲渡日
    • 対抗要件の具備方法
  2. 債権譲渡の実行:契約で定めた実行日において、債権譲渡を実行します。譲受人は譲渡人に対価を支払い、譲渡人は譲受人に債権に関連する書類を引き渡します。
  3. 対抗要件の具備:譲受人が債務者に対して債務の履行を請求するには、債務者対抗要件を具備する必要があります。また、二重譲渡を防ぐには、第三者対抗要件を具備する必要があります。 対抗要件の具備方法は、以下の通りです。
    • 債務者への通知:譲渡人が債務者に対して、債権譲渡を通知します。
    • 債務者の承諾:債務者が債権譲渡を承諾します。
    • 債権譲渡登記:債権譲渡登記を行います。

譲渡できない債権

債権は原則として譲渡できますが、例外も存在します。

  • 性質上譲渡できない債権: 例えば、大学教授が学生に教授する義務など、一身専属的な債権は譲渡できません。
  • 法律で譲渡が禁止されている債権: 例えば、扶養請求権や著作権法上の著作者人格権などは、法律で譲渡が禁止されています。

個人が債権譲渡をする場合

債権譲渡は企業間で行われるイメージが強いかもしれませんが、個人でも債権譲渡を行うことは可能です。

例えば、友人にお金を貸している場合、その貸金債権を第三者に譲渡することができます。ただし、個人が債権譲渡を行う場合は、以下の点に注意する必要があります。

  • 債権譲渡契約書の作成:口約束ではなく、必ず書面で債権譲渡契約書を作成しましょう。
  • 債務者への通知:債務者に対して、債権譲渡を通知する必要があります。
  • 税金:債権譲渡によって利益が生じた場合は、税金がかかる可能性があります。

債権譲渡と債務者の権利

債権譲渡、債務者が拒否できるってホント

債務者が債権譲渡を拒否できるケース

債務者が債権譲渡を拒否できるケースとして、まず、債権に譲渡制限特約が付されている場合が挙げられます。譲渡制限特約とは、債権の譲渡を禁止または制限する契約のことです。

債権譲渡禁止特約が付されている債権が譲渡された場合、債務者は、譲受人に対して債務の履行を拒否することができます。ただし、譲受人が譲渡制限特約の存在を知らなかった場合は、この限りではありません。

また、債権の性質上譲渡ができない場合も、債務者は債権譲渡を拒否できます。このような債権としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 一身専属権:特定の債権者に対してのみ履行されるべき債権。例えば、肖像画を描く契約など。
  • 信用取引:債権者の人格を考慮して契約が締結された場合。例えば、融資契約など。
  • 将来の不確定な債権:将来発生するかどうか不確定な債権。例えば、不法行為に基づく損害賠償請求権など。

債権譲渡における債務者の承諾

債権譲渡の対抗要件を具備するためには、債務者の承諾を得るという方法もあります。債務者から承諾を得ることで、債務者への対抗要件を取得することができます。

債務者から承諾を得るには、譲渡人と債務者の双方が公証役場に出向いて、公正証書を作成するのが一般的です。

債権譲渡の対抗要件

債権譲渡において対抗要件は非常に重要です。

対抗要件とは、「債権を譲り受けたことを、債務者や第三者に主張できる権利」のことです。債権譲渡の対抗要件には、「債務者対抗要件」と「第三者対抗要件」の2種類があります。

  • 債務者対抗要件:譲受人が債務者に対して債務の履行を請求できる権利。
  • 第三者対抗要件:譲受人が債務者以外の第三者に対して債権譲渡の事実を主張できる権利。

対抗要件を具備していないと、債務者から「Aさんから債権譲渡されたとは聞いていない」と主張されたり、他の債権者から債権を横取りされる可能性もあります。

では、どのように対抗要件を具備すれば良いのでしょうか? 具体的な方法としては、以下の3つがあります。

  1. 債務者への通知
    • 譲渡人が債務者に対して、債権譲渡があったことを通知します。
    • 通知方法は、書面、口頭、電話など、どのような方法でも構いません。ただし、後日のトラブルを避けるため、書面で通知するのが一般的です。
    • 通知の内容としては、誰が誰に債権を譲渡したのか、具体的に明記する必要があります。
  2. 債務者の承諾
    • 債務者が債権譲渡を承諾するという方法です。
    • 承諾は、書面または口頭で行うことができます。
    • 後日のトラブルを避けるためには、書面で承諾を得ておく方が良いでしょう。
    • 債務者の承諾を得ることで、債務者に対抗要件を確実に具備することができます。
  3. 債権譲渡登記
    • 債権譲渡登記を行うことで、第三者に対抗要件を具備することができます。
    • 債権譲渡登記は、法務局で行います。
    • 登記に必要な書類は、債権譲渡契約書、登記申請書などです。
    • 債権譲渡登記は、債務者への通知や債務者の承諾よりも、確実に対抗要件を具備できる方法です。

対抗要件とは?

「債権譲渡の対抗要件」は、債権譲渡をスムーズに行うために非常に重要なものです。

なぜなら、対抗要件を具備していないと、以下のようなトラブルが発生する可能性があるからです。

  • 債務者から債務の履行を拒否される
    • 譲受人が債務者に対して債務の履行を請求しても、「債権譲渡の事実を知らない」と主張されて、支払いを拒否される可能性があります。
  • 二重譲渡のリスク
    • 譲渡人が同じ債権を複数人に譲渡してしまう二重譲渡のリスクがあります。
    • この場合、対抗要件を具備していない譲受人は、債権を請求することができなくなってしまいます。
  • 債権の差押え
    • 譲渡人が債務を負っている場合、その債権が差押えられてしまう可能性があります。
    • 対抗要件を具備していないと、譲受人は、差押債権者に対して債権を主張することができなくなってしまいます。

このようなトラブルを避けるためにも、債権譲渡を行う際は、必ず対抗要件を具備するようにしましょう。

債権譲渡のやり方

債権譲渡を行う場合、一般的には以下の手順を踏みます。

  1. 譲渡人と譲受人で債権譲渡契約を締結する
    • 債権譲渡契約書には、譲渡する債権の内容(債権の種類、債権額、債務者名など)、譲渡対価、債権譲渡日などを明記する必要があります。
    • また、債権譲渡の対抗要件をどのように具備するかについても、明記しておく必要があります。
  2. 譲渡人が債務者に債権譲渡を通知する
    • 債務者に対して債権譲渡を通知することで、債務者対抗要件を具備することができます。
    • 通知は、書面、口頭、電話など、どのような方法でも構いません。ただし、後日のトラブルを避けるため、書面で通知するのが一般的です。
  3. 債務者から債権譲渡の承諾を得る(任意)
    • 債務者から債権譲渡の承諾を得ることで、より確実に債務者対抗要件を具備することができます。
    • 承諾は、書面または口頭で行うことができます。
  4. 債権譲渡登記を行う(任意)
    • 債権譲渡登記を行うことで、第三者に対抗要件を具備することができます。
    • 債権譲渡登記は、法務局で行います。

債務者対抗要件とは?

債務者対抗要件とは、譲受人が債務者に対して債務の履行を請求できる権利のことです。

債務者対抗要件を具備するためには、以下のいずれかの方法をとる必要があります。

  • 譲渡人が債務者に対して債権譲渡を通知する
  • 債務者から債権譲渡の承諾を得る

債務者対抗要件を具備していないと、譲受人は債務者に対して債務の履行を請求することができません。

なぜ譲渡禁止特約を結ぶのか?

債務者にとって、債権譲渡禁止特約を結ぶメリットは何でしょうか?

主な理由は、取引相手を固定するためです。

取引相手が信頼できる相手だからこそ、契約を結んでいるケースは多いはずです。しかし、債権が譲渡されてしまうと、取引相手が知らない相手に変わってしまう可能性があります。債権譲渡禁止特約を結ぶことで、このような事態を防ぐことができます。

また、債権譲渡禁止特約を結ぶことで、債権の価値を維持することができるというメリットもあります。

債権が譲渡されてしまうと、債権の価値が下落してしまう可能性があります。例えば、債務者の信用状態が悪化している場合、債権の価値は下落します。債権譲渡禁止特約を結ぶことで、債権の価値を維持することができます。

Q&A

債権譲渡の対抗要件は?

債権譲渡の対抗要件には、債務者対抗要件第三者対抗要件の2種類があります。

債務者対抗要件を具備するには、譲渡人が債務者に対して債権譲渡を通知するか、債務者から債権譲渡の承諾を得る必要があります。

第三者対抗要件を具備するには、債務者への通知に加えて、確定日付のある証書による通知が必要です。

債権譲渡の承諾は必要?

債権譲渡の承諾は、必ずしも必要ではありません。

譲渡人が債務者に対して債権譲渡を通知することで、債務者対抗要件を具備することができます。しかし、債務者から債権譲渡の承諾を得ることで、より確実に債務者対抗要件を具備することができます。

債権譲渡されたら?

債権が譲渡された場合、債務者は、新しい債権者に対して債務を履行する必要があります。

債務者に対して債権譲渡の通知があった場合、債務者は、元の債権者ではなく、新しい債権者に対して債務を支払わなければなりません。

第三債務者が支払いを拒否したら?

第三債務者が支払いを拒否した場合、債権者は、第三債務者に対して訴訟を提起することができます。

ただし、第三債務者が支払いを拒否できる正当な理由がある場合は、債権者は敗訴する可能性があります。

まとめ

今回は、債権譲渡について解説しました。

債権譲渡は、企業間だけでなく、個人間でも行われる取引です。債権譲渡を行う際は、手続きや注意点などをしっかりと理解しておくことが重要です。

記事のまとめ

  • 債権譲渡とは、債権を他人に譲り渡すことである
  • 債権譲渡には、譲渡人と譲受人の双方にメリット・デメリットがある
  • 債権譲渡は、3つの手続きを経て行う
  • 譲渡できない債権もある
  • 債務者が債権譲渡を拒否できるのは、譲渡制限特約が付されている場合
  • 債務者から債権譲渡の承諾を得ることで、対抗要件を具備することができる
  • 債権譲渡の対抗要件には、債務者対抗要件と第三者対抗要件がある
  • 対抗要件を具備していないと、債務者から債務の履行を拒否されたり、二重譲渡のリスクがある
  • 債務者対抗要件とは、譲受人が債務者に対して債務の履行を請求できる権利である
  • 債権譲渡禁止特約を結ぶ理由は、取引相手を固定するためである

注釈

  • 本記事は、2025年1月7日時点の情報に基づいて執筆されています。
  • 法令の名称は、以下のように省略しています。
    • 特例法:動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律

参考文献

  • 最高裁判所判例集
  • 法務省ウェブサイト
  • 個人情報保護委員会ウェブサイト

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