借金の基礎知識

借金はインフレで得する?その驚きの理由と注意点を教えます!

「インフレになったら借金した方が得なの?」

という疑問に答えます。

インフレとは物価が上昇することで、お金の価値が下がる現象です。

インフレになると、借金の返済負担が実質的に軽くなったり、借金を資産運用に回すことで利益を得やすくなったりするメリットがあります。

しかし、借金はインフレで得するだけではありません。

所得が上がらないと生活が苦しくなったり、金利が上昇すると返済額が増えたり、過度なインフレに陥ると経済が混乱したりするデメリットもあります。

この記事では、インフレの仕組みと影響、借金のメリットとデメリット、注意点や対策方法などを詳しく解説します。

この記事は以下の方におすすめです。

  • インフレの仕組みや影響を理解したい方
  • 借金をすることのメリットやデメリットを知りたい方
  • インフレに強い資産運用方法を探している方

インフレとは何か?その仕組みと影響を簡単に解説

インフレとは物価が上昇することで、お金の価値が下がる現象です。インフレになると、消費者や企業、政府に様々な影響が及びます。

インフレとは物価が上昇すること

インフレとは、一般的に物価水準が継続的に上昇することを指します。物価水準とは、消費者が購入する商品やサービスの平均的な値段のことです。

物価水準は、消費者物価指数(CPI)や生鮮食品を除くコアCPIなどで測られます。日本銀行は、物価安定の目標として、コアCPIの前年比上昇率2%を掲げています。

インフレ率とは、物価水準の上昇率のことで、以下の式で計算されます。

インフレ率=((現在の物価水準-前年の物価水準)÷前年の物価水準)×100

例えば、2022年のコアCPIが100だったとします。

2023年のコアCPIが102になった場合、インフレ率は以下のようになります。

インフレ率=((102-100)÷100)×100=2%

つまり、2022年から2023年にかけて、コアCPIで測った物価水準は2%上昇したことになります。

インフレになるとお金の価値が下がる

インフレになると、物価が上昇することでお金の価値が下がります。お金の価値とは、お金でどれだけの商品やサービスを購入できるかを表すものです。

例えば、100円で買えた商品が、1年後に200円に値上げされた場合、現在の100円玉の価値は、1年後には50円分になってしまいます。つまり、同じ額面でも購買力が半分になってしまうことになります。

逆に、物価が下降することをデフレといいます。デフレになると、お金の価値が上がります。例えば、100円で買えた商品が、1年後に50円に値下げされた場合、現在の100円玉の価値は、1年後には200円分になります。つまり、同じ額面でも購買力が倍になることになります。

インフレになる原因と現在の日本の状況

インフレになる原因は様々ですが、主なものは以下のようなものです。

  • 需要引き起こし型インフレ:需要が供給を上回ることで物価が上昇する。例えば、景気回復や所得増加で消費者や企業の支出が増えたり、政府支出や減税で財政政策が拡張的になったりする場合。
  • コスト引き起こし型インフレ:原材料や賃金など生産コストが上昇することで物価が上昇する。例えば、石油や穀物などの国際価格が高騰したり、労働市場が緊張して賃金が上昇したりする場合。
  • 期待引き起こし型インフレ:消費者や企業が将来の物価上昇を予想して支出や価格設定を行うことで物価が上昇する。例えば、中央銀行がインフレ目標を掲げて金融緩和を行ったり、インフレ率が高い国においてインフレが慣習化したりする場合。

現在の日本は、2012年からアベノミクスにより再びインフレに向かおうとしています。

2012年以降、インフレを目指すために、主に以下のような政策が実施されました。

  • 2012年12月 第2次安倍政権が誕生
  • 2013年1月 日銀が「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定める
  • 2013年3月 量的・質的金融緩和を実施
  • 2014年10月 追加の金融緩和を実施

これらの政策により株価はどんどん上昇し、不動産の販売価格も過去最高レベルになりました。

しかし、コロナ禍や消費税増税などの影響で、コアCPIは2020年からマイナスに転じています。

日本はまだデフレから脱却できていないと言えます。

借金はインフレで得するのか?その理由とメリットを詳しく説明

インフレになると、借金は得すると言われます。その理由とメリットについて、以下のように説明できます。

借金はインフレで返済負担が軽くなる

借金はインフレで返済負担が軽くなるというのは、以下のような意味です。

  • 借金の額は固定されているが、物価や所得は上昇するため、実質的に借金の価値が下がる
  • 借金の利息は低金利で固定されているが、物価や所得の上昇率は高くなるため、実質的に借金のコストが下がる

例えば、100万円を借りて10年間で返済する場合を考えます。

年利は1%で毎年均等に返済するとします。

この場合、毎年11万円ずつ返済すれば、10年後には借金を完済できます。

しかし、この間にインフレ率が2%だったとします。

つまり、物価や所得は毎年2%ずつ上昇していきます。

この場合、以下のようなことが起こります。

  • 100万円の借金は10年後には約82万円分の価値になる
  • 11万円の返済額は10年後には約9万円分の価値になる
  • 1%の利息は10年後には約0.8%分のコストになる

つまり、インフレによって借金の価値や返済額や利息が相対的に下がっていくため、返済負担が軽くなっていくことになります。

借金はインフレで資産運用に有利になる

借金はインフレで資産運用に有利になるというのは、以下のような意味です。

  • 借金を資産運用に回すことで、物価や所得以上の収益を得ることができる
  • 借金の利息よりも資産運用の収益率が高ければ、差額分だけ利益を得ることができる

例えば、100万円を借りて不動産や株式などに投資する場合を考えます。

年利は1%で毎年均等に返済するとします。この場合、毎年11万円ずつ返済すれば、10年後には借金を完済できます。

しかし、この間に投資した資産が毎年5%ずつ上昇したとします。

つまり、投資した資産は10年後には約163万円になります。この場合、以下のようなことが起こります。

  • 100万円の借金は10年後には約82万円分の価値になる
  • 100万円の投資資産は10年後には約163万円分の価値になる
  • 1%の利息よりも5%の収益率が高いため、差額分だけ利益を得ることができる

つまり、インフレによって借金の価値が下がる一方で、投資資産の価値が上がるため、資産運用に有利になることになります。

借金はインフレで政府の債務圧縮に貢献する

借金はインフレで政府の債務圧縮に貢献するというのは、以下のような意味です。

  • 政府は国債を発行して借金をしているが、インフレによって国債の価値や利息が下がるため、返済負担が軽くなる
  • 政府はインフレによって税収が増えるため、財政収支が改善される

例えば、政府が100億円の国債を発行して借金をしたとします。

年利は1%で10年後に一括で返済するとします。

この場合、10年後には101億円を返済すれば、借金を完済できます。

しかし、この間にインフレ率が2%だったとします。

つまり、物価や所得は毎年2%ずつ上昇していきます。

この場合、以下のようなことが起こります。

  • 100億円の国債は10年後には約82億円分の価値になる
  • 101億円の返済額は10年後には約83億円分の価値になる
  • 1%の利息は10年後には約0.8%分のコストになる
  • 政府の税収は10年後には約122億円になる

つまり、インフレによって国債の価値や返済額や利息が相対的に下がっていくため、返済負担が軽くなっていくことになります。

また、インフレによって税収が増えるため、財政収支が改善されます。

借金はインフレで得するだけではない?そのデメリットと注意点を紹介

インフレになると、借金は得すると言われますが、それは一概には言えません。

借金にはデメリットや注意点もあります。

借金はインフレで所得が上がらないと厳しくなる

借金はインフレで返済負担が軽くなると言いましたが、それは所得が物価に追随して上昇することが前提です。

しかし、現実には所得が物価よりも上昇しない場合もあります。

例えば、サラリーマンや公務員などの給与は、物価の変動に対して遅れて反応することが多いです。

また、自営業者やフリーランスなどの収入は、市場の競争や需要の変化に影響されることもあります。

つまり、インフレになっても所得が上がらない場合は、物価の上昇によって生活費が増える一方で、返済額は変わらないため、実質的に返済負担が重くなってしまうことになります。

借金はインフレで金利が上昇する可能性がある

借金はインフレで利息が下がると言いましたが、それは利息が固定されている場合です。

しかし、利息が変動する場合もあります。

例えば、住宅ローンやカードローンなどの借金は、金利が変動することがあります。

金利は市場の需給や中央銀行の政策によって変わります。

インフレになると、中央銀行はインフレを抑制するために金融引き締めを行うことがあります。その結果、市場の金利が上昇することがあります。

つまり、インフレになっても利息が上昇する場合は、返済額が増えるため、返済負担が重くなってしまうことになります。

借金はインフレで過度なインフレに陥るリスクがある

借金はインフレで政府の債務圧縮に貢献すると言いましたが、それは適度なインフレの場合です。

しかし、過度なインフレになると、逆効果になることもあります。

例えば、ハイパーインフレと呼ばれる極端な物価上昇が起こると、お金の価値が急激に下落し、経済活動や社会秩序が混乱します。

ハイパーインフレは、政府の財政赤字や中央銀行の過剰なマネーサプライなどが原因で起こることがあります。

つまり、インフレになっても過度なインフレに陥る場合は、借金だけでなく資産や所得も目減りしてしまうため、返済能力や生活水準が低下してしまうことになります。

Q&A

借金はどれくらいするとインフレで得するのか?

借金はインフレで得すると言っても、借金の額や期間、利息、インフレ率などによって異なります。

一般的には、以下のような条件が揃うとインフレで得する可能性が高くなります。

  • 借金の額が大きい
  • 借金の期間が長い
  • 借金の利息が低い
  • インフレ率が高い

逆に、以下のような条件が揃うとインフレで得する可能性が低くなります。

  • 借金の額が小さい
  • 借金の期間が短い
  • 借金の利息が高い
  • インフレ率が低い

具体的な計算方法は、以下のようになります。

  • 借金の実質価値=借金の額×(1-インフレ率)の借金期間乗
  • 返済額の実質価値=返済額×(1-インフレ率)の返済時点までの年数乗
  • 利息の実質コスト=利息×(1-インフレ率)の返済時点までの年数乗

例えば、100万円を借りて10年間で返済する場合を考えます。

年利は1%で毎年均等に返済するとします。

この場合、毎年11万円ずつ返済すれば、10年後には借金を完済できます。

しかし、この間にインフレ率が2%だったとします。つまり、物価や所得は毎年2%ずつ上昇していきます。

この場合、以下のように計算できます。

  • 借金の実質価値=100万円×(1-0.02)の10乗=約82万円
  • 返済額の実質価値=11万円×(1-0.02)のn乗(nは返済時点までの年数)
    • 例えば、1年目の返済額の実質価値は11万円×(1-0.02)の1乗=約10.8万円
    • 10年目の返済額の実質価値は11万円×(1-0.02)の10乗=約9万円
  • 利息の実質コスト=1万円×(1-0.02)のn乗(nは返済時点までの年数)
    • 例えば、1年目の利息の実質コストは1万円×(1-0.02)の1乗=約9800円
    • 10年目の利息の実質コストは1万円×(1-0.02)の10乗=約8200円

これらを合計すれば、借金と返済と利息の実質差額が分かります。

この差額がプラスであればインフレで得したことになりますし、マイナスであればインフレで損したことになります。

借金をするならどんなものに投資すべきか?

借金をするなら、物価や所得以上の収益を得られるものに投資すべきです。

投資先インフレに強い理由リスク
不動産価格や賃料が上昇する、コストが低い、低金利で借金ができる市場の変化や災害などによる価格下落、空室や入居者トラブルなどの運用リスク
株式売上や利益が増える、配当や株価上昇で収益を得られる、借り入れができる市場の変動や企業の業績悪化などによる価格下落、借り入れによる返済リスク
金や仮想通貨などの非法定通貨法定通貨の価値下落に影響されない、価値基準として機能する価格変動が激しい、流動性や安全性が低い

これらの投資は、インフレに強いと言われますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

また、投資は必ずしも成功するとは限りません。

したがって、自分のリスク許容度や目標期間や資金量などに応じて、適切な投資先を選ぶことが重要です。

借金をしないでインフレに強い資産運用はできないのか?

借金をしないでインフレに強い資産運用はできます。

しかし、借金をしない場合は、以下のような点に注意する必要があります。

資産運用に回せる資金が少なくなる

借金をしない場合は、自分の持っている現金や貯金しか資産運用に回せません。そのため、資産運用に回せる資金が少なくなります。資産運用に回せる資金が少なければ、収益も少なくなります。

資産運用の選択肢が限られる

借金をしない場合は、自分の持っている現金や貯金でしか投資できません。そのため、投資できるものの選択肢が限られます。例えば、不動産や株式などの高額な投資は難しくなります。

資産運用のリスクを低くする

借金をしない場合は、自分の持っている現金や貯金を失うリスクを低くすることが大切です。そのため、安全性や流動性の高い投資を選ぶことが望ましいです。例えば、国債や預金などの低リスクな投資です。

これらの点から分かるように、借金をしないでインフレに強い資産運用をする場合は、収益性や成長性の低い投資になりがちです。そのため、インフレに対抗するためには、より長期的な視点や効率的な分散投資が必要になります。

まとめ

この記事では、インフレとは何か、借金はインフレで得するのか、借金のメリットとデメリット、注意点や対策方法などを詳しく解説しました。

記事のまとめ

  • インフレとは物価が上昇することで、お金の価値が下がる現象
  • インフレになると、借金は返済負担が軽くなったり、資産運用に有利になったりするメリットがある
  • 借金をする場合は、物価や所得以上の収益を得られるものに投資することが重要

インフレは避けられない現象ですが、それに対応する方法はあります。

インフレに強い資産運用を行うことで、自分の資産や所得を守ることができます。

ぜひ、この記事を参考にしてみてください。

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