奨学金の返済を滞納し、ブラックリストに載ってしまったら、新たな借り入れができなくなるなど、様々な不利益を被ることになります。
奨学金のブラックリストに載ると、クレジットカードの作成やローンの審査に通らなくなるでしょう。
では、一度奨学金のブラックリストに載ってしまったら、どのようにすれば解除できるのでしょうか?
また、自分が奨学金のブラックリストに載っているかどうかを確認する方法はあるのでしょうか?
この記事では、奨学金のブラックリストについて、ブラックリストに載る条件や期間、ブラックリストの確認方法、そしてブラックリストに載った場合の対処法について詳しく解説します。
奨学金の返済で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 奨学金を3ヶ月以上滞納すると信用情報機関のブラックリストに載る
- ブラックリストに載ると新たな借り入れやクレジットカード作成などができなくなる
- 奨学金の滞納が続くと延滞金の発生や一括請求、裁判所による差し押さえなどのリスクがある
- 奨学金の返済が難しい場合は猶予制度や減額返還制度などの救済制度を利用するか、状況によっては債務整理を検討する
奨学金を3ヶ月以上滞納するとブラックリストに載る
奨学金の返済を3ヶ月以上滞納すると、信用情報機関のブラックリストに載ってしまいます。
日本学生支援機構の奨学金は2008年11月から全国銀行協会(KSC)に加盟しており、2009年4月以降の受給者が対象です。
つまり、3ヶ月以上奨学金の返済が滞るとKSCのブラックリストに記録されるのです。
ただし、口座の残高不足などで一時的に引き落としができなかった場合でも、すぐに支払えばブラックリストには載りません。
あくまでも3ヶ月以上の長期滞納がブラックリストの対象となります。
返済が遅れそうなときは、迷わず相談するのが最善です。私自身、早めに動くことで状況を改善できた経験があります。
奨学金のブラックリストに載ると何が起こる?
奨学金の返済が滞納してブラックリストに載ると、以下のようなデメリットが生じます。
- クレジットカードのショッピングやキャッシングの利用が制限される
- 住宅ローンなど各種ローンの審査に通りにくくなる
- 携帯電話の契約審査に通らない可能性がある
- アパートの賃貸審査に落ちるケースがある
つまり、ブラックリストに載ると信用情報に傷がつき、金融機関からお金を借りることが難しくなるのです。また、携帯電話や賃貸物件の契約にも影響が出る恐れがあります。
ブラックリストに載る割合はどのくらい?
文部科学省の調査によると、奨学金の延滞率(3ヶ月以上の滞納率)は全体の4.1%にのぼります(2019年3月末時点)。つまり、奨学金利用者の約25人に1人がブラックリストに載っている計算です。
大学生の2人に1人が奨学金を利用している現状を考えると、ブラックリストに載るリスクは意外と高いと言えるでしょう。奨学金の返済は計画的に行い、できる限り滞納は避けたいものです。
奨学金のブラックリストはいつ消えるのか
奨学金の滞納情報がブラックリストに載ると、原則として返済が完了してから5年間は記録が残ります。しかし、滞納期間中は5年よりも長くブラックリストに載り続ける点に注意が必要です。
仮に10ヶ月間奨学金の返済を滞納した場合、ブラックリストに載る期間は「10ヶ月(滞納期間)+5年(返済完了後)」の5年10ヶ月となります。滞納を長引かせるほどブラックリストの記録が残る期間も長くなるのです。
奨学金の返済が難しい事情があれば、早めに相談して返済猶予や減額返還などの制度を利用しましょう。問題を先延ばしにせず、ブラックリストに載る前に対策を講じることが肝心です。
奨学金ブラックリストを回避する方法
奨学金を滞納しそうなとき、どうすればブラックリストを回避できますか?
まずは滞納する前に日本学生支援機構へ相談しましょう。返済猶予や減額返還の手続きをすれば、滞納を防ぐことができます。また、返済計画を見直し、無理のない支出管理を心がけることが大切です。
奨学金の滞納は何ヶ月からブラックリスト入りしますか?
繰り返しになりますが、奨学金の返済を3ヶ月以上滞納するとブラックリストに載ります。
例えば、4月・5月・6月の返済を連続で滞納した場合、6月末の時点でブラックリスト入りが確定します。
奨学金のブラックリストに載るのは何回目の滞納から?
奨学金の返済を1回でも滞納するとブラックリストに載る可能性があります。
ただし、すぐに返済すればブラックリストを回避できます。
問題なのは、3ヶ月連続で奨学金の返済を滞納した場合です。
この場合は返済の意思があってもブラックリスト入りは避けられません。計画的な返済を心がけ、万が一滞納しそうになったら早めに相談しましょう。
奨学金のブラックリストは解除できる?確認方法は?
一度ブラックリストに載った奨学金の滞納情報を途中で削除することはできません。
返済完了から5年が経過するまで待つ以外に方法はないのです。
自分がブラックリストに載っているかどうかは、KSCに信用情報の開示を請求することで確認可能です。
ただし、開示請求には1通につき1,000円の手数料がかかります。安易に確認するのではなく、心当たりがある場合に限定して利用しましょう。
ブラックリストでもクレジットカードは作れる?
奨学金の滞納でブラックリストに載っていても、クレジットカードを作れる可能性はゼロではありません。
ただし、大手銀行系や信販系のクレジットカードは審査に通らない恐れが高いです。
ブラックリスト入り後にクレジットカードを作るなら、審査の甘い発行会社を選ぶ必要があります。
ただし、限度額が低かったり金利が高かったりとデメリットもあるので、メリット・デメリットをよく吟味しましょう。
奨学金のブラックリストでも住宅ローンは組める?
奨学金の滞納でブラックリストに載っていると、住宅ローンの審査には通りにくいと考えた方が良いでしょう。仮に審査に通ったとしても、金利が高めに設定されるケースが多いです。
とはいえ、ブラックリスト期間中でも住宅ローンを組める可能性は一概にゼロとは言えません。過去の滞納が一時的なもので、現在は安定した収入があれば審査に通るケースもあります。
ただし、住宅ローンの審査は非常に厳しいので、ブラックリストに載っている間は控えるのが賢明です。計画的な返済を続け、ブラックリストの解除を待ってから住宅購入を検討しましょう。
奨学金の滞納情報は信用情報に載らないケースも
日本学生支援機構の奨学金は、全ての受給者が信用情報機関に登録されているわけではありません。2009年3月以前の奨学金受給者は、本人の同意がない限り信用情報への登録は行われません。
つまり、2009年3月以前に奨学金を受給していた人が返済を滞納しても、信用情報にブラックリストとして記録されない可能性があるのです。ただし、現在は原則として全ての受給者の信用情報が登録されるので、この例外規定はあまり意味がありません。
奨学金のブラックリストに載っている期間はどのくらい?
繰り返しになりますが、奨学金の滞納情報は返済完了から5年間、ブラックリストに載り続けます。
ただし、これはあくまでも滞納期間を除いた年数です。
仮に1年間奨学金の返済を滞納したら、ブラックリストに載る期間は「1年(滞納期間)+5年(返済完了後)」の6年間となります。
滞納期間が長引けば長引くほど、ブラックリストに載る期間も長期化するのです。
ブラックリストに載ったとしても、そこで終わりではありません。地道に返済を続ければ、時間とともに信用を取り戻せます。大切なのは、諦めずに向き合うことです。
奨学金のブラックリストは消えるのか?
結論から言えば、奨学金のブラックリストが途中で消えることはありません。返済完了から5年が経過するまで待つ以外に、ブラックリストから抜け出す方法はないのです。
強いて言えば、信用情報機関との交渉により滞納情報の削除を求める方法が考えられます。しかし、これが認められるケースは限られており、実際に削除できる可能性は極めて低いでしょう。
やはり一番の対策は、計画的な返済を続けて滞納を避けることに尽きます。奨学金の返済に行き詰まったら、早めに相談して解決策を探るようにしましょう。
Q&Aよくある質問
- 奨学金を滞納するとどうなりますか?
→奨学金の返済を3ヶ月以上滞納すると、信用情報機関のブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると、ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなるなどのデメリットが生じます。 - 奨学金のブラックリストはいつ消えますか?
→奨学金の滞納情報は、返済完了から5年が経過するとブラックリストから消えます。ただし、滞納期間はこの5年に含まれないので、滞納が長引くほどブラックリストに載る期間も長くなります。 - 奨学金のブラックリストに載っていても借金はできる?
→ブラックリストに載っていても借金ができないわけではありませんが、審査のハードルは上がります。ブラックOKのローン業者もありますが、金利が高めに設定されている点には注意が必要です。
まとめ:奨学金ブラックリストに載る条件
記事のまとめ
- 奨学金を3ヶ月以上滞納すると信用情報機関のブラックリストに載る
- ブラックリストに載ると新たな借り入れやクレジットカード作成などができなくなる
- ブラックリストの情報は返済完了から5年間残る
- 奨学金の滞納による延滞金は年率3%と比較的低い
- 奨学金の返済が困難な場合は返還期限猶予制度や減額返還制度を利用できる
- 返還期限猶予制度は最長10年間、減額返還制度は最長15年間の返済期間延長が可能だ
- 本人が死亡または障害により返済不能な場合は返還免除制度が適用される
- 救済制度を利用しても返済が難しい場合は債務整理を検討する必要がある
- 奨学金の連帯保証人・保証人は家族や親族であることが多い
- 奨学金の債務整理をすると連帯保証人・保証人に請求が行くリスクがある
- 奨学金の利率が低いため任意整理の減額効果は低い
- 奨学金以外の借金があれば任意整理で減額し、浮いた資金を奨学金返済に回すのが有効だ
参考
- 小林雅之. (2016). 「奨学金の返済困難者の実態と支援策の課題」『大学論集』
- 日本学生支援機構「奨学金の返還」
- 資料2 真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実